【薬剤師監修】噂の肥満改善薬「アライ」とは?効能や副作用を解説!

「市販の薬で本当に痩せるの?」

「痩せ薬と聞くと怪しい薬に聞こえるけど安全性や副作用は大丈夫なの?」

上記のような疑問を感じている方は多いのではないでしょうか。

この記事では現役薬剤師が肥満改善薬「アライ」について解説します。

この記事でわかること
  • アライの有効性や安全性
  • アライの副作用と対処方法
  • アライの購入条件と購入方法

この記事を読むとアライがどんな薬かわかり、健康診断に引っかからない体にする準備ができます。

目次

肥満改善薬アライとは?

肥満改善薬アライは大正製薬が2024年4月に発売した肥満改善薬です。

肥満改善薬アライの有効成分はオルリスタットという物質です。効能効果は添付文書によると”腹部が太めな方の内臓脂肪および腹囲の減少 (生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る):アライ添付文書”であり、日本で初めての内臓脂肪減少薬になります。

効き目の仕組み

アライの作用点である食事由来の脂肪は膵臓から分泌される「リパーゼ」によって人体が吸収できる形に分解されてから吸収されます。

アライが体内でどのような働きで内臓脂肪を減らすのか大正製薬によると”アライの有効成分であるオルリスタットは消化管管腔内で脂肪分解酵素リパーゼの活性を阻害し、食事由来の脂肪の吸収を抑制。:内臓脂肪減少薬「アライ」ブランドサイト”と発表されています。

アライの効果は食事由来の脂肪を便と一緒に体外へ排出することにより食事由来の脂肪分や摂取カロリーが減少し、腹囲や内臓脂肪の減少に繋がります。

アライの有効性

ダイエットの薬は危険と感じている方が多いと思いますが、アライは安全性の高い薬です。

なぜならアライは体にほとんど吸収されないため重篤な副作用がほぼないからです。大正製薬のQ&Aにて成分は体に吸収されますかの質問に対し”ほとんど吸収されない:よくあるご質問|内臓脂肪減少薬「アライ」ブランドサイト”と回答しています。

しかし膵炎を起こしている状態での服用や脂溶性ビタミンを服用している方は副作用が起きる可能性が高いため、現在薬を服用されている方は販売元の薬剤師に現在服用している薬を必ず伝えてください。

国内で初めて承認された薬

2023年2月にアライは要指導医薬品として「腹部が太めな方の内臓脂肪および腹囲の減少(生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る)」の効能・効果で承認されました。

有効成分のオルリスタットは120mgカプセルが医療用医薬品として1997年にアルゼンチンで初めて承認され、その後欧州や米国を中心に100ヶ国以上で承認されています。さらに半分の用量である60mgカプセルが市販薬として2007年に米国で初めて承認され、現在70ヶ国以上で発売されています。

アライは海外での実績を元に日本で医療用医薬品での発売を経由せずに市販薬として承認されるダイレクトOTCかつ、薬剤師の対面発売が義務付けられている要指導医薬品として発売されました。

有効性について

海外での使用実績は十分あるが、日本人への効果は海外の方と同様の効果を得ることができるでしょうか。


大正製薬は2つの治験を行いアライの有効性を確認しました。国内臨床試験の結果|内臓脂肪減少薬「アライ」ブランドサイトを参考に執筆しています。

二重盲検比較試験

アライの有効性を確認するため、アライと何の効果もないプラセボ薬を比較し、医師や被験者がどちらも治療内容を知らない状態で行う臨床試験が実施されました。今回の臨床試験での条件は以下になります。

  • 対象:18才以上の内臓脂肪が過剰蓄積した方
  • 試験方法:生活習慣の改善(食事、運動)を実施しながら、アライもしくはプラセボ(偽薬)を1回1カプセル、1日3回、6ヶ月間投与
  • 総数:200名(各群100名)

6ヶ月間の臨床試験の結果は以下の通りになります。

  • 内臓脂肪の面積がプラセボ群は5.78%減少、アライ群は14.1%減少
  • 腹囲変化量はプラセボ群が1.63cm減少、アライ群は2.41cm減少

いずれの数値もプラセボ群よりアライ群のほうが減少の幅が大きいため、海外同様に日本人でもアライの有効性があると統計学的に証明されました。

長期投与試験

アライの効果の持続性を判定するために1年間アライを服用継続する臨床試験が実施されました。今回の臨床試験での条件は以下の条件になります。

  • 対象:18才以上の内臓脂肪が過剰蓄積した方
  • 試験方法:生活習慣の改善(食事、運動)を実施しながら、アライもしくはプラセボ(偽薬)を1回1カプセル、1日3回、1年間投与
  • 総数:120名

1年間の臨床試験の結果は以下の通りになります。

  • 内臓脂肪の面積が6ヶ月で16.74%減少、1年間で21.52%減少
  • 腹囲変化量が6ヶ月で3.59cm減少、1年間で4.73cm減少

アライを継続的に服用することで持続的な効果が現れると統計学的に証明されました。

アライを購入できる条件

アライは要指導医薬品のため、薬剤師による対面販売が義務付けられています。また以下の条件が当てはまる方が対象の医薬品です。

  1. 成人(18歳以上)
  2. 腹囲(へその高さ)男性85cm以上・女性90cm以上
  3. 生活習慣改善の取り組み(食事・運動)を行っていること

3番目の条件である生活習慣改善の取り組みは服用3ヶ月前から必要になり、1ヶ月前から生活習慣や体重、腹囲の記録が必要になります。生活習慣の記録は大正製薬が用意している生活習慣記録を使用して生活習慣改善の取り組みを記録しましょう。

アライを購入する際は購入のためのチェックシートを用いて薬剤師と確認しつつ購入するため、購入検討している方はあらかじめチェックシートを確認して購入できるか確認できます。

アライを購入できない条件

アライの購入条件に満たしていても購入できないケースがあり、以下の項目に当てはまっている方は購入ができません。

  • オルリスタットに対してアレルギーがある方
  • シクロスポリン(免疫抑制薬)、抗HIV薬、ワーファリンなどの抗凝固薬を服用している方
  • 吸収不全症候群、胆汁うっ滞、薬や病気による肥満と診断された方
  • BMIが35以上の方
  • BMIが25以上35未満の方なおかつ別紙Aに記載の診断を受けている方

アライは「肥満改善薬」のため「肥満症」の方には使用ができません。

「肥満」はBMI25以上の方を示し、「肥満症」はBMI25以上なおかつ11種の健康障害が1つ以上該当している方を示す。BMIが35以上の場合は「高度肥満症」となります。

アライの副作用と対策

アライは食事中の脂肪を便と一緒に出す薬のため、薬の効果によると考えられる以下のような消化器症状の副作用が多いです。120名を対象にした長期投与試験において73件の副作用が報告されました。以下の一覧が大正製薬がアライの承認申請時添付データになります。

内臓脂肪減少薬「アライ」|公式ブランドサイト

特に便を伴う放屁と油の漏れの発生頻度が高く、それぞれ20%以上の確率で副作用が生じています。アライの副作用は薬の効果由来のため、高確率で副作用が発生します。

そこでアライの副作用に対する対策を2つ説明します。

脂の多い食事を控える

脂肪の多い食事ほど便中に排泄される油の量が多くなるため、消化器症状の副作用が多くなります。副作用の症状として「便があぶらっぽい」「便が近い」「お腹が張る」「下痢」「腹痛」のような症状が現れる方は脂肪の少ない食事に切り替えて便中の脂肪分を減らして症状をコントロールしましょう。

オムツやナプキンで対策

アライの副作用として多い「便を伴う放屁」と「油の漏れ」は飲み始めた初期に起きやすく、次第に慣れていく副作用です。慣れるまでの対策としてオムツやナプキン、便漏れパッドなどを活用しましょう。

どこで買える?

アライは要指導医薬品のため、薬剤師がいる薬局もしくはドラッグストアで購入可能です。しかしアライの取り扱いがない店舗もあるため、アライ取扱販売店検索で調べてから来局するのがおすすめです。

いつも行っている薬局でアライの取り扱いがない場合でも薬剤師に相談したら入荷してくれる可能性があるため相談する価値はあります。アライを入荷するためには薬剤師がオンラインで研修する必要があるため、薬が届くまでに多少時間がかかります。

アライの価格

アライの値段は以下の通りになります。

  • 18カプセル(6日分)2,530円(税込み)
  • 90カプセル(30日分)8,800円(税込み)

まとめ

今回の記事ではアライの有効性や安全性、副作用に対する対策方法を解説しました。

30代を超えると体重が落ちにくくなったり、お腹のお肉が付きやすくなり今後の健康に不安を感じている方は多くいます。肥満は放置すると生活習慣病になりやすく、血管を傷つけて動脈硬化に発展しやすいです。悪化してから元に戻すのは非常に難しいため、早期から肥満の対策をしましょう。肥満対策の一つとしてアライは有効的な手段になるため、気になる方はお近くの薬局かドラッグストアで薬剤師に相談してください。

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